華やかな馬車が通る「信任状捧呈式」

 新任の外国の特命全権大使はその国の元首が発する「信任状」を持参し、日本の元首に捧呈します。日本の元首は言うまでもなく、天皇陛下です。憲法に明文化されていなくても国際常識なのです。日本の外交官も海外へ大使などとして派遣される場合は、天皇の認証した信任状を持参します。

 着任する駐日大使らの信任状は大体こんなことが書かれています。
天皇陛下に対し、友好関係増進のために○○を大使として派遣し、その○○は人格も能力も優れた人物であり、全幅の信頼を置いていただきたい」

 JR東京駅丸の内中央口から西にある皇居に向かってまっすぐ伸びる道は「御行幸通り」と呼ばれ、普段通行止めされている中央部分の4車線くらいのスペースがとかれ、交通規制されます。その中を東京駅から二頭立てのえんじ色の菊の門の入った儀装馬車がゆっくりと走り抜けます。馬車を操るのは宮内庁の職員でその周りを皇居警察と警視庁の騎馬隊が護衛します。馬車に乗っているのは人事異動で駐日大使館に着任したばかりの外国の大使(夫妻)です。沿道の人が手を振れば手を振り返してくれるそうです。私は丸の内に勤務していたことがあったのですが、残念ながらこの光景を見たことがありません。各国大使はこうやって信任状捧呈式のため皇居へ向かうのです。皇居へ向かうのには車にするか馬車にするか選択できるそうですが、ほとんど馬車を選ぶそうです。
 当初は馬車が大使館まで迎えにいっていたそうですが、交通事情で不可能になり、廃止の声がでました。しかし、各国の大使の要望が強いため、コースを短縮して残すことになりました。
 皇室は世界最古にして最後の王朝。天皇陛下の権威はローマ法王とならんで世界のツートップです。これは世界常識です。伝統的な馬車に乗って天皇陛下のもとへいき、信任状を捧呈する。これがどれほど栄誉なことか、知らぬは日本人ばかりなり。



参考文献
 「天皇論」小林よしのり
 「天皇陛下の全仕事」山本雅人著


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