騙されたリットン調査団
満州事変について中華民国政府の提訴をうけて1932年2月よりリットン調査団が調査を始めますが、それまでの国際連盟の空気は日本よりむしろ全国を統一しきれないでいる支那の弱体ぶりにたいして批判的であったといいます。
内田満鉄総裁は「唯一の解決方法は満州国を承認することである。満州国は日本の傀儡国家ではないし、本来、支那の不可分の領土でもなかった」と強調し、本間関東軍司令官も「満州は日本の生命線で、その防衛は日本のみならず、すべての文明社会をコミンテルンの赤化から守ることになる」と力説しています。
しかしながら歴史的に満州は漢民族のものではなかったこと、満州の民衆を理解していないリットン調査団は日本の貢献と権益を認めましたが、満州国を認めませんでした。支那の一部としたのです。支那としては満州民族の土地を漢民族の土地として認めてもらったのですからしてやったりです。支那は自らの弱体化を憐憫の情をかけさせるごとく、民衆の軍閥に対する怨嗟巧みにそらしたのですから支那人のうそつきテクニックは昔からたいしたものだったということなのでしょう。
1930年代に上海の米国総領事館の副領事であったラルフ・タウンゼントは米国が支那政府を盲目的に信用して日本を敵視していることに対して警告を発しています。
「支那人ほど下劣で油断のならない民族はいない。西洋人は道徳観は人類に共通するものと考えているが、それは間違いである。西洋人は人様に親切にしてもらったら何かお礼しようと考え、少なくとも迷惑をかけないように気を使う。これが支那では通用しない。恩義を感じないのである」
「支那に長く居る英米に、支那人の性格で我々と最も違うものを挙げて欲しいかと訊くと、ほぼ全員が躊躇なく”嘘つきである”と答える」・・・現在も変わりません。
さてリットン報告書の第9章では解決の原則および条件を掲げ、原状回復および満洲国の維持を共に否認し以下をあげています。
1)日中両国の利益に合致すること
2)ソビエト連邦の利益尊重
3)現行の多辺的条約と調和し得ること
4)満洲における日本の利益の承認
5) 日中間における新たな条約関係の設定
6)将来の紛争解決について効果的施設をなすこと
7)中国の主権および行政的保全と調和する範囲内で満洲に自治を許す
8)内部的秩序は能率ある地方的憲兵隊により、外部的侵略に対する安全保障はすべての軍隊の撤退および不侵略条約による
9)日中間の経済的提携の促進
10)中国の改造に対する国際的協力等を紛争解決の条件とし
むちゃくちゃな話しではないので日本政府も受け入れの意向だったといいます。しかし連盟を脱する結果となりました。これにはARA密約説があります。 奉天省:アメリカ合衆国、吉林省:グレート・ブリテン連合王国、黒竜江省:ソビエト社会主義共和国連邦、熱河省:フランス共和国、ドイツ共和国、イタリー王国が駐兵として、行政は6カ国でやりましょう、という密約です。日本の知らないところで満州の権益を分けっこするもので、これを日本側の情報筋がキャッチしたためというのです。もしこれが本当なら大変な話しです。2008年に史料公開するはずでしたが、その後話しは聞いておりません。