橋下徹氏とB層

橋下氏はB層のコントロールがうまいのか。




 適菜収(てきなおさむ)氏の「B層の研究」はなかなか面白く、日本維新の会の党首である橋下徹大阪市長についてもズバリ切り込んでいます。少し引用します。

「こうした民主的腐敗の行き着いた先が『一からリセットして日本を作り直す』といったファミコン世代の橋下徹だと思います。
 橋下は文明社会の敵です。
 その根底には国家解体のイデオロギーがあります。
 労組と対決姿勢を示したり、保守層向けのリップサービスを怠らないので勘違いされていますが、橋下の本質はアナーキストであり、メンタリティーとしては古いタイプの左翼です」

 氏の論からすると日教組と対決姿勢を示したり、朝日新聞とバトルするのも保守層向けのリップサービスということになります。国旗掲揚、国歌斉唱時の起立や、市職員の「刺青」(これは同和との対決)などもそういうことなのでしょう。

 橋下語録 2010年1月、公明党の年賀会
大阪府大阪市壊す必要がある」「大阪の形を一回全部解体して、あるべき大阪をつくりあげる」

 2011年6月
大阪市が持っている権限、力、お金をむしりとる」「権力を全部引き剥がして新しい権力機構を作る」

適菜収氏によると、これらは典型的左翼の発想なのだそうです。「革命」ということです。さらに引用します。

「徴兵制度の復活や核武装論を熱弁した後で『あれはテレビ番組で世間ウケを狙っただけ』と嘯き、愛国者のふりをしながら『お国のためになんてケツの穴が痒くなる』と述べ、政治とは『自分の権力欲、名誉欲を達成する手段』であるとタレント時代には語ってきた橋下を、『保守』を名乗る人間が持ち上げるという間抜けな構図は、わが国の知的退廃が生み出したものです」

 橋下氏の言動を見ると小泉純一郎元首相に似ていることに気付きます。小泉氏は自民党をぶっ壊す」といいました。そういうセンセーショナルな言葉を短いフレーズにまとめて使うところです。小泉氏が何かのテレビ番組で話をしていたのを覚えているのですが、若い頃、一つのことを長々と演説して選挙に負けたことがあったので、それに反省し、短いフレーズでわかりやすく訴えるやり方に変えたと言っていました。要するにB層向けです。私もこれには“なるほど”と感心したものです。ここでB層について再度、適菜氏の定義を確認します。

「マスコミ報道に流されやすい「比較的」IQ(知能指数)が低い人たち」
「近代的諸価値を盲信するバカ」

$かつて日本は美しかった
適菜氏著書よりJJ太郎が新たに作成

 実際、橋下氏は小泉元首相を尊敬しており、小泉流の短いフレーズでインパクトを持たせる発言や「抵抗勢力」という敵を作り対決姿勢をとることにより、B層の支持を集めたところはそっくり真似をしているようです。おなじやり方をしている政治家がいます。みんなの党渡辺喜美代表です。この人も短いフレーズでキレのある発言をすることに努めています。敵を作ることで支持を集めるやり方は菅直人元首相もやりました。「脱小沢」です。

 まとめますと、橋下氏がアナーキズムを隠し持ち、B層の扱い方を小泉純一郎元首相から学び、B層の支持を得て、維新の会が50超の議席を獲得したというのが現状ということになります。以前の橋下氏と少し違うところは石原慎太郎というご意見番がついたというところでしょう。小泉元首相は“塩ジイ”こと塩川正十郎氏をご意見番として財務相につけ、サプライズとなりましたが、太陽の党、石原氏と合流したのは、小泉流が念頭にあったのかもしれません。

 次の衆院選には橋下氏は出てくるでしょう。石原氏はバトンを渡すはずです。それまで我々は橋下流およびマスコミ報道に惑わされず、橋下徹氏の本質をよく見極めなければなりません。適菜氏の指摘は、橋下氏の「首相公選制の導入」「地方分権の推進」「参議院の解体」というのは民主主義の一般意志による権力の一元化であるといいます。だとするとB層の扱いがうまい橋下氏が「国民主権」という無限定な力を掌握し、独裁的な力を持ち、そのアナーキズム思想により日本国を解体に導くということです。こうしたシナリオは阻止しなければなりません。



添付画像
 橋下徹(PD)

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