フジテレビは誰のためにあるのか

会社は誰のものか、誰のためのものか。


 俳優の高岡蒼甫ツイッターでつぶやいた一連の発言をきっかけにフジテレビの「韓流ゴリ押し」に批判が集まっています。

「正直、お世話になった事も多々あるけど、8は今マジで見ない。韓国のTV局かと思う事もしばしば」「ここはどこの国だよって感じ。(中略)洗脳気持ち悪い!」

 ご存知の方も多いと思いますが、以前からフジテレビの「韓流ゴリ押し」には批判が多くあり、サブリミナル効果を使った韓流推し手法やステルスマーケティング手法などが批判されてきていました。キム・ヨナあげ、浅田真央さげ、といった報道や、日の丸・君が代カット放送など積もり積もって、高岡発言をきっかけにそれらの不満が一気に噴出したといえるでしょう。加えてリトル・ボーイ事件、サッカー松田選手の通夜で笑顔の女子アナ、被災地ボランティア流用、ネット工作員がいたなど、ボロボロ不祥事が吹き出ています。この状況下でフジテレビの社員はどう思っているのだろう?と思っていたら週プレニュースに記事が出ていました。

高岡蒼甫に「韓国のTV局か」「洗脳気持ち悪い」と言われたフジテレビ社員の言い分

(前略)
こうした局の姿勢や今回の騒動について、フジテレビ局員たちはどう思っているのか。バラエティ番組に携わる若手局員A氏はこう語る。
「正直、ここまで批判されるとは思いませんでした。韓流はブームのひとつであって、数年前にクイズ番組やお笑い番組が多く放送されていたのと一緒。人気があって視聴率も期待できる、ただそれだけの理由なのに」
番組の出演者を決めるキャスティング会議では、必ずといっていいほど韓流スターやK-POPアイドルの名前が挙がるという。音楽番組を担当する局員B氏はこう語る。
オリコンチャートを見れば一目瞭然ですが、KARAや少女時代などの曲がヒットしているでしょ? 番組で旬なタレントを起用したり、特集したりするのは当然の流れですよ」
K-POPに関していうと、同局の子会社であるフジパシフィック音楽出版著作権を持つアーティストをゴリ押ししているとの批判もあるが……。
「テレビ不況真っただ中の現在、スポンサーに頼らない放送外収入をいかにして確保するかが大事。上場企業のビジネスとして、何か問題があるのでしょうか」(B氏)
では、平日の昼から夕方に放送されている2本の韓流ドラマについてはどうなのか。高岡が最初にツイッターでつぶやいた時間を見るかぎり、「韓国のTV局かと思う」とヤリ玉に挙げたのは、この昼のドラマに対してだろう。別の若手局員C氏が話す。
「平日の14時から16時という時間帯は、ウチにとってかねてからの懸案事項。日本テレビの『情報ライブミヤネ屋』やテレビ朝日の『相棒』(再放送)に押され、ずっと視聴率が低迷していましたから。ここでコケると、夕方の『スーパーニュース』などにも悪影響を及ぼす。そこで苦肉の策としてスタートしたのが韓流ドラマというワケ。あの時間帯の主な視聴者層は年配の主婦で、韓流好きが多い。おかげで視聴率も平均5%前後と安定しています」
韓流ドラマは日本のテレビドラマとは違い、放送期間が長いこともメリットだという。
「現在放送中の『製パン王 キム・タック』は全30話。ドラマの場合、視聴者を一度囲い込めば、なかなか離れていかないので長く放送できるほうがいいんです。実際、韓流ドラマは熱狂的なファンが多く、東日本大震災のときに特番と差し替えたら、『なんで放送しないんだ』ってクレームがあったほど(苦笑)」(C氏)
まさに韓流マンセーといった様相だが、違和感を覚えている局員も少数派ながらいるようだ。
「確かに、局内には『韓流タレントが番組出演すれば、その分、日本人のタレントの出番が減る。ひいては日本の芸能界が衰退し、テレビ離れが加速するのでは?』という意見もあります。でも、人気があるものに巻かれるのがテレビ局員(笑)。結局、目先のことに飛びついてしまう」(A氏)
(後略)

http://wpb.shueisha.co.jp/2011/08/10/6315/
http://news.livedoor.com/article/detail/5778343/

 韓流が本当に人気なのか、旬なのか、は疑問のあるところですが、それはおいといて、フジテレビ社員に大きく欠けているものに気づかされます。社員の発言には「公共の電波」を使っている、という感覚が全く感じられないことです。視聴率がとれればいい、つまりお金。「今だけ、自分だけ、お金だけ」が彼らの主張と言って過言ではないでしょう。

 もちろんフジテレビも一企業です。しかし、企業というものは「金儲け」が目的で存在しているのでしょうか。以前、経済誌で読んだのですが、第16代アメリカ合衆国大統領リンカーンの「人民の、人民による、人民のための政治」を企業に当てはめると企業の存在というのは以下3点に集約できます。(※1)

(1)会社は誰のものか・・・所有者=株主
(2)会社は誰によって構成され活動しているか・・・経営者と社員
(3)会社は誰のためのものか・・・Stakeholders(ステークホルダーズ、利害関係者)

 「(3)会社は誰のためのものか」は経営者、社員、顧客、消費者、地域社会、国家などだったりします。フジテレビの社員の言だとは「会社はオレたちのためのもの」と言っていることになります。フジテレビはそういう会社なのでしょうか。「公共の電波」の電波は誰のものか。それを使って「オレたちのためのもの」という発想になるのか?

 <フジ・メディア・ホールディングス コーポレート・ガバナンス(6)ステークホルダーについて(※2)>
「当社グループの核となる子会社フジテレビジョンは、民共有の財産である電波を預かる者として社会的責任を認識し、放送法、電波法、社団法人日本民間放送連盟の放送基準をはじめとする法令等の遵守に加え、フジテレビ行動指針やフジテレビジョン番組審議会規定に基づく番組審議会によって、放送番組の適正化を図っております。これらは、持株会社である当社が、株主の視点に立ち、企業価値の維持・向上を目指すうえで重要なステークホルダーのひとりである視聴者の立場を尊重することにつながるものと考えております」


 おやおや、電波は「国民共有財産」と言っており、ステークホルダーのひとりに「視聴者」がおり、尊重すると言っています。「フジテレビはオレたちのためのもの」なんて言っていませんね。

 <フジテレビのコンプライアンスに対する基本的な考え方と概況(※3)>
「私たちは民共通の財産である電波を預かり、放送に携わるものとして、一般よりも高い倫理観とコンプライアンス意識が求められていると認識しています。
それを前提にフジテレビは、放送法などがめざしているメディアの公益性を確保し、適正に業務が行われるためのコンプライアンス体制を構築すべく努めています。(後略)」


 ここでも電波は「国民共有の財産」といっており、「公益性を確保する」と言っています。電波を使うフジテレビは自分たちの金儲けのためにある、とは言っていません。

 <フジテレビ行動宣言(※4)>
「フジテレビは、『世のため人のため』、社会に、地球に、そしてあなたにとって何が『大切』かを常に考え、愛され、信頼される放送局として行動します」


 ここでもフジテレビは「オレたちのため」ではなく、「世のため人のため」と、ステークホルダーを挙げています。

 フジテレビはどうしたんでしょう?フジテレビの掲げる理念は単なる「タテマエ」であり、裏の理念は「フジテレビはフジテレビのためにある」であり、「今だけ、自分だけ、カネだけ」なんでしょうか。現在噴出しているフジテレビの根本的な問題はここにあるように思えるのですが、豊田皓社長、いかがでしょうか。




※1 週刊東洋経済2006.2.18「リンカーンと会社は誰のもの」
※2 フジ・メディア・ホールディングス コーポレート・ガバナンス http://www.fujimediahd.co.jp/corporate/governance.html
※3 フジテレビのコンプライアンスに対する基本的な考え方と概況 コンプライアンス体制の概況 http://www.fujitv.co.jp/csr/compliance/index.html
※4 フジテレビ行動宣言 http://www.fujitv.co.jp/csr/declaration/index.html


添付画像
 FCGビル Auth:Wiiii

広島ブログ クリックで応援お願いします。