日本海軍のモラールはスカイハイ 〜 ペルシャ湾の掃海部隊

海軍というより日本の民度


 平成2年(1990年)の湾岸戦争後、日本海自衛隊は掃海部隊を派遣し、残された機雷を処理しています。当初の日本の国際的評価は「カネだけ出す国」と評価は低いものでした。

 日本の掃海部隊の司令官、落合一佐は各国指揮官の懇親会にたびたび出席していましたが、慣れてくると国際貢献について遠慮ない意見が交わされるようになります。イラン・イラク戦争ペルシャ湾を航行する日本のタンカーをアメリカやNATOの海軍艦艇が護衛したことについて批判が寄せられました。

「自国のエネルギー源の70%を中東に依存している日本のタンカーを守るため、何故アメリカやその他の国の若者が危険に身を晒さなければならないのか」

 アメリカがGHQ憲法を押し付けておいて腹の立つ話です。さらに湾岸戦争での日本の対応も批判され、さすがに落合一佐は、「日本人だってこれまでに130億ドル、つまり日本国民一人当たり1万円ずつ払って立派に国際貢献しているではないか」と反論しますが、相手は「国民一人当たり1万円か。つまりニアリーイコール100ドルだな。100ドル払えばペルシャ湾にこなくていいのだったら、俺は今ここで100ドル払ってやるよ」と切り返され、二の句がつげなくなったといいます。

 そんな日本批判も掃海部隊の活躍と規律正しさ、礼儀正しさ、節度ある行動によって吹き飛ばされていきます。各国の軍隊が湾岸地域に上陸するとトラブルがよく起こりました。ある外国の軍隊4人がタクシーに乗ろうとしたら定員は3人までと断られたので、乗せろ、乗せないのすったもんだの末にタクシー運転手を車から引きずりおおろし、叩きのめしてしまったのです。それを見ていた他のタクシー運転手たちが怒り、今度は逆に4人を袋叩きにしました。さらに4人は船に戻って仲間を呼んできたので大きな騒ぎになりました。各国の司令官は港に入るとまた上陸員が何かしないかと心配で休養どころかストレスでいっぱいになったといいます。ところが日本海自衛隊は一切トラブルがない。
 この日本人のモラルの高さはアラブ人の共感を呼び、日本部隊の接岸位置を上陸の都合のいい場所に移してくれたり、門の出入りチェックも自国の官憲ではなく、日本の部隊から人を出してやれるよう便宜をはかってくれました。
 上陸後はバスをチャーターして港からダウンタウンまで送ってもらい、帰りもそこで拾ってくれるのですが、たまにバスに乗り遅れている日本の隊員を見かけると「おい、ジャパン、乗っていけ」と言って止まってくれたといいます。逆に日本のチャーターしたバスが他国の乗り遅れた隊員を見つけて、日本の隊員が運転手に「乗せてやってくれ」というと、現地の運転手は「ノー」と言いました。日本の隊員は行儀がいいが、あの連中は何をし出すかわからないというのが理由です。

 海幕の連絡士官としてバーレーンに駐在していた河村雅美ニ佐が、アメリカ中央海軍司令官のテーラー少将を訪れたときのことです。対座したテーラー少将は開口一番こういいました。

「日本の海上自衛隊掃海部隊のモラールは、スカイハイだ」



参考文献
 光人社ペルシャ湾軍艦旗」碇義朗(著)
参考サイト
 「湾岸の夜明け作戦」 落合蔲 http://www.mod.go.jp/msdf/mf/touksyu/yoakenosakusen.pdf
 「湾岸の夜明け」作戦に掃海部隊派遣(「海上自衛隊50年史」から抜粋) http://www.mod.go.jp/msdf/mf/touksyu/wanngann.pdf

添付画像
 海上自衛隊ホームページ 掃海隊群 EOD訓練 より http://www.mod.go.jp/msdf/mf/eod.html
 水中処分員(EOD員)とは?
  爆弾、機雷等火工武器の海中捜索、識別、安全化及び処分作業(爆破作業を含む。)を行う。

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