GHQ憲法に影響を与えた憲法研究会

憲法研究会もGHQと同じピンカーズ。




 現在、日本国憲法とよばれるGHQ製憲法はGHQの押し付けでなく、日本人も関わったという話を聞いたことがあります。実際、民間でも憲法草案が作成されており、昭和20年(1945年)12下旬に憲法研究会の草案がGHQに届けられ、GHQのラウエル中佐によって翻訳され、GHQの憲法草案作成の委員会に配布されました。このことが「押し付けではない」の根拠になっていると思われます。

 この憲法研究会のメンバーは元東大教授の高野岩三郎憲法史研究者の鈴木安蔵が中心となっています。両者は共産主義者です。この憲法研究会に助言したのがGHQのハーバート・ノーマンであり、これまた共産主義者で後のマッカーシズム赤狩り)によって追われ、カイロで自殺しています。つまり、憲法研究会はGHQのピンカーズ(赤いやつ)と同じ穴のムジナであったわけです。

 GHQはOSSの影響を受けています。OSSというのは戦略情報局というCIAの前身にあたるものです。このOSSについては米国で資料公開が行われており、ハーバート・ノーマンはOSSの要員であり、日本国憲法作成の首魁であったケーディス大佐もOSSの要員です。OSSでは二段階革命を考えており、第一段階では天皇を温存し、天皇の力を利用しブルジョア民主革命をおこし、二段階目で天皇を退け、共産革命を起こすというものです。

 こうした二段階革命論はノーマンから憲法研究会に伝わっていると思われ、憲法研究会の草案では天皇温存の考え方を示しています。

天皇ハ国政ヲ親ラセス国政ノ一切ノ最高責任者ハ内閣トス」
天皇ハ国民の委任ニヨリ専ラ国家的儀礼ヲ司ル」

「国民の委任」とあるところがミソで天皇を退けることを可能にしています。これは現在のGHQ憲法第一条「・・・この地位は主権の存する日本国民の総意に基づく」に対応しています。

 憲法研究会では共和制を理想とするが「現在の過渡的段階の実態にかんがみて、しばらく『民主主義的性格』の強き立憲君主制たるを妥当と考へる」としています。二段階革命を伺わせる内容です。また憲法改定手続きも一旦憲法改正を行い、10年後に新憲法を制定することにしており鈴木安蔵は次のように述べています。

「この程度の憲法が施行されれば、10年のあいだに、国民は思想的にも必然的に一歩前進して共和制の国家形態を要望するにいたるであろうと考えたのであった!」

 GHQ憲法の首魁、ケーディス大佐はGHQ憲法の改正条項の議論の際、憲法改正を困難にしては「後世の国民の自由意思を奪う」と述べていますが、これも二段階目の革命を容易にしたいがための発言と推察できます。

 高野岩三郎憲法研究会のメンバーでありながら、天皇の存続は不本意であったようで、別個に憲法私案を作成しています。私案の文頭には次のように書かれています。

「根本原則 天皇制ヲ廃止シ、之ニ代ヘテ大統領ヲ元首トスル共和制採用」

 この高野岩三郎はGHQの検閲にも協力しており、公職追放によって空席となったNHK会長に就任しました。このときNHKに反皇室イデオロギーが埋め込まれたのでした。



参考文献
 転展社「戦後日本を狂わせたOSS日本計画」田中英道(著)
 岩波現代文庫日本国憲法の誕生」古関彰一(著)
 河出書房新社白洲次郎」『白洲次郎とは誰か』加藤典洋樋口覚

参考サイト
 国立公文書館 新憲法の制定
  http://www.archives.go.jp/exhibition/digital/saiken/shousai.html
 国立国会図書館 高野岩三郎憲法改正
  http://www.ndl.go.jp/constitution/shiryo/02/045shoshi.html

添付画像
 高野岩三郎(PD)

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