GHQ憲法第25条に秘められたもの

ユダヤの願望。革命志向。それがGHQ憲法の本質。

 GHQ憲法の第25条は比較的多くの人に認識されているでしょう。

第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 「生存権」を言っており、なんと耳障りのよい条文でしょうか。

マッカーサー
「第二十四条 有ラユル生活範囲ニ於テ法律ハ社会的福祉、自由、正義及民主主義ノ向上発展ノ為ニ立案セラルヘシ」

3月5日政府案
「第二十三条 有ラユル生活範囲ニ於テ法律ハ社会的福祉、公共衛生、社会的安寧、自由、正義及民主主義ノ向上発展ノ為ニ立案セラルヘシ」

 「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」という部分はもともとありません。これは社会党の提案によって挿入されたものでした。憲法研究会の草案に次のような条文があります。

「一、国民ハ健康ニシテ文化的水準ノ生活ヲ営ム権利ヲ有ス」

 憲法研究会といえば鈴木安蔵高野岩三郎といった共産主義者が中心になって草案を作ったのであり、森戸事件で有名な社会党の森戸辰男もメンバーでした。社会党の提案の中心は彼だったのでしょう。この憲法研究会はGHQのハーバート・ノーマンが深く関係していました。ノーマンはOSS(戦略情報局)の出身です。OSSは知識人向けマルクス主義フランクフルト学派の巣窟でした。フランクフルト学派研究者の大物の多くはユダヤ人です。第一次世界大戦後、ドイツでユダヤ人が君臨したユダヤワイマール憲法に次のような条文があります。

 ワイマール憲法163条
「すべてのドイツ人民はその精神的および肉体的な力を公共の福祉を促進するように活用する道徳的義務を負う。但し、人身の自由は害われない。」
「すべてのドイツ人民には経済的労働によってその生活資料を獲得する可能性が与えられなければならない。適当な労働の機会を与えられない者に対しては、必要な生活資料を支給する。」

 ユダヤ人は差別され、わずかな職業しか選択できず、職が無いため生存権が脅かされてきたのです。こうしたユダヤ人の願望がOSSフランクフルト学派を通じて、GHQ憲法に入り込んできたというわけです。

 そしてこのGHQ憲法第25条は「生活保護法」の形で実効性を持っています。他人に頼って生活してもよい、働かなくてもよいというわけです。

 さて、GHQ憲法が公布された後、憲法普及会が作られ、各地で講演が行われ、その中で森戸辰男は「新憲法社会主義」という題で講演を行っています。

「国の政治が国民の生活の最小限を国民に保障しなければならぬ、ということを明らかにしたということは、私は政治上の民主革命と並ぶ、また働く国民大衆にとっては、場合によってはそれよりも意義の大きい、憲法の一条であると存じております」

「新憲法のもとでは、暴力革命によることなく国会民主主義の方式で資本主義が社会主義へと移り行く可能性が与えられた。すなわち国民の社会主義的確信が支配的のものとなれば、平和的に社会主義へ転化する可能性が与えられた、ということであります」

 GHQ憲法が何の目的で作られたかよくわかる講演です。

 本来、自己責任外、自己努力ではどうにもならない弱者は救わねばなりませんが、GHQ憲法第25条のおかげで「怠け者」まで救わなければならなくなりました。というより「怠け者」を生んだといったほうが正しいでしょうか。現在、生活保護がどれほど問題になっていることか。
 戦前の日本は生存権が保証されていなかったなんてことはなく、家族制度がそれを保証しており、救護法や母子保護法、医療保護法で補っていました。戦後、GHQは家族制度を破壊し、GHQ憲法が怠け者を保護するようにしたため、勤勉な日本人の伝統は徐々に壊されていきました。それは国の伝統や文化、優れた民族性を破壊し、その先の革命を志向したイデオロギーによるものだったのです。



参考文献
 岩波現代文庫日本国憲法の誕生」古関彰一(著)
 日進報道「日本人に謝りたい」モルデカイ・モーゼ(著)/ 久保田政男(訳)
 学生書房「世界の新憲法」世界経済研究所(編)
 展転社「戦後日本を狂わせたOSS日本計画」田中英道(著)

参考サイト
 国立国会図書館
  3-15 GHQ草案 1946年2月13日 http://www.ndl.go.jp/constitution/shiryo/03/076shoshi.html
  3-21 GHQとの交渉と「3月5日案」の作成 http://www.ndl.go.jp/constitution/shiryo/03/089shoshi.html
  憲法研究会「憲法草案要綱」 1945年12月26日 http://www.ndl.go.jp/constitution/shiryo/02/052shoshi.html

添付画像
 1946年(昭和21年)10月29日、「修正帝国憲法改正案」を全会一致で可決した枢密院本会議の模様。(PD)

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