日本の新年
日本人の信仰心。
「正月」とういのは単なる「年始」ではなく日本最古の宗教行事です。家には門松やしめ縄が飾られ、初詣や初日の出を拝みにでかけます。正月は「歳神様」をお迎えし、祝う行事だったんですね。ご先祖の霊魂が歳神様となり、家にやってきて、その年の豊作と家族の健康を約束してくれるのです。門松は歳神様が宿る安息所でありしめ縄は清浄な区域であることを示します。鏡餅は歳神様へのお供え物です。年末に大掃除をするのも旧年中の穢れを清め、歳神様をお迎えするためです。
日本人のこの信仰心は宗教を超越したものとなっています。ほとんどの人は現代でいう「宗教」を感じないでしょう。「習俗」になっているといえます。神教といわず、神道といいますよね。
この日本人と一体となっている信仰心の頂点にいるのが天皇陛下です。
天皇陛下は元旦、午前五時半に四方拝の儀を執り行われます。神宮をはじめ四方の神々や御陵を遥拝され、この年の平和と国民の幸福を祈念されます。御拝所は神嘉殿の南庭に屋根を設けた場所です。そこで薦(こも)を敷いた上に白い布を敷き、その上に真薦、蘭薦を敷き、御拝座の厚畳を設け、蜀台二基を立て、その周囲を屏風二双で囲ったものです。この御拝所の中で陛下がどのような所作をなされるのか誰も知りません。天皇のみが口移しで伝えられる御口伝(くでん)です。古い儀書には属星を拝すとも書かれているそうで、何か呪文があったようです。
四方拝に続いて天皇陛下は宮中三殿の歳旦祭にお出ましになります。これは年の初めをお祝いして、その年の平安を祈念される祭儀であり、全国の神社でも行われています。
年ごとに 月の在りどを 確かむる 歳旦祭に 君を送りて
これは平成19年(2007年)1月の歌会始に皇后陛下が詠まれた歌です。四方拝、歳旦祭を行うためお住まいの御所を出られる陛下を見送られたときの光景を歌にして披露されました。毎年、まだ真っ暗の中、月がどこにあるか空を見上げ、陛下をお見送りなるお気持ちであり、元旦早朝の冷たい張り詰めた空気さえ伝わってきそうではありませんか。
日本の新年はこのようにして天皇陛下の「国平らかに、民安かれ」という祈りにより始まり、国民はご先祖を御迎え入れ、今年一年、諸事うまくいくよう、家族の無病息災を祈ることから始まるのです。
参考文献
「天皇論」小林よしのり著
「天皇陛下の全仕事」山本雅人著
「宮中祭祀」中澤伸弘著
添付画像
平成21年ハワイでの天皇陛下(PD)
日本人の謎03 史上初!天皇陛下の正月祭祀【四方拝】
http://www.youtube.com/watch?v=xXHZfl21sCs
アナウンサーが「天皇家」と言っているが、これは間違い。皇室は「家」ではない。皇室に「姓」はない。