マスターズ・カントリーとゲスト・ワーカー



 「一度も植民地になったことがない日本」の著者、デュラン・れい子さん(アーティスト)はオランダのアムステルダムの画廊で版画の個展をやったとき南米のスリナムというオランダの植民地だったところから来た掃除係の女性にこう聞かれました。

「私は日本について何も知りません。日本のマスターズ・カントリーはどこなんですか?」

 れい子さんは何のことかわからずキョトン。マスターズカントリーは支配していた白人の国のことですが、日本人としてはすぐには何のことかわからないでしょう。スリナムの女性はオランダに来るまでアーティストとうい職業があること知らなかったといいます。先進国以外の国は食べることが優先で、そのような職業は公認されていないのでしょう。れい子さんはスリナムの女性は同じ有色人種なのに、なぜ日本人はマスターズ・カントリーが無く、白人らと同等に生活ができるのか不思議に思ったのではないか、と述べています。オランダでは外国からの労働者、特に旧植民地から働きに来た人をオランダ国籍の取得有無を問わず「ゲスト・ワーカー」と呼びます。でもキャノンやトヨタで働く日本人はそう呼ばれません。

 メキシコのチャバスというマヤ文明の名残のある街があります。もともとの住民はスペイン人によって男は皆殺しにされ、女は強姦され、メスティーソという白人とラテンアメリカの先住民の混血がほとんどになってしまいました。純粋なマヤ族の女性は「なぜ先祖はスペイン人と結婚しなかったのか」と言って恨んでいるといいます。メスティーソなら都会に出れたのに、と。メスティーソはスペインに行くと「父の国に来られた」と喜ぶそうです。植民地になり、文明を抹殺されるということはこういうことなんですね。

 白人の植民地だった国は今は独立したとは言え、まだまだ発展途上国の地位は低いものです。日本人が他の有色人種と異なり、白人と肩を並べて渡り合えるのは有史以来独立を守り、近代において白人を相手に日露戦争大東亜戦争を戦い、戦後に経済大国となったためです。我々は先人に感謝しなければなりません。カミカゼら英霊たちのおかげです。



参考文献
 「一度も植民地になったことがない日本」デュラン・れい子著
 「日本はどれほどいい国か」日下公人高山正之共著

添付画像
 スリナムパラマリボ市街歴史地区 - (2002年、文化遺産)(Чръный человек氏)

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