沖縄にスパイがいたのか

 以前「たかじんのそこまで言って委員会」で沖縄集団自決のところで「スパイだといわれて日本兵に殺された人がいます!」と大声で叫ぶ人がいました。スパイは本当にいたのでしょうか。

 「沖縄戦集団自決の謎と真相」で『沖縄戦における軍官民関係』(原剛)によると沖縄出身のハワイ二世およびサイパン島に出稼ぎ中に捕らわれた者の一部が、米軍の諜報要員の訓練を受けて沖縄作戦に先立ち潜水艦などにより隠密上陸したり偵察機より落下傘降下で島内に潜伏したとあります。捕らえられたものは小型無線機を持っていました。まず、戦争における諜報活動からするとこのようなことは有り得るというかあって当たり前です。沖縄戦でもそうだったということで日本軍は警戒したことでしょう。

 しかし、大城将保著「沖縄戦の真実と歪曲」には以下のように述べています。
(1)住民虐殺の名目が「スパイ容疑」であった。
(2)軍に非協力的なものを「スパイ」として処刑し、見せしめにした。
(3)日本人将校には沖縄県人と同胞意識が薄く、日本軍が中国大陸や東アジア現地住民に対する蔑視や虐待を沖縄に持ち込んだ。

 大城将保氏の史観は(3)から東京裁判史観であることは間違いなさそうです。日本軍は野蛮で残酷で虐待虐殺を行ったということが前提でそこからは一歩も出られない。別の書に書いてあるのかもしれませんが、本著ではスパイが本当にいたのかという検証はそこそこで、スパイ容疑で住民が虐殺されたと書いています。もちろん疑心暗鬼の中で誤りがあったり、不良軍人もいたことは私にも想像できます。しかし、一般のブログではなく地位のある方の出版物ですから少なくとも「沖縄人は皆スパイだ!」というような見出しを掲げるぐらいであればスパイが本当にいたのかの事実検証ぐらいは書くべきでありましょう。


参考文献:「沖縄戦集団自決の謎と真相」秦郁彦
     「沖縄戦の真実と歪曲」大城将保著


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