ヒロシマの閉ざされた言論空間に風穴があくか


 広島で観念的平和観に疑問を持ち、被爆2世の方たちにより「平和と安全を求める被爆者たちの会」 http://www.realpas.com/ が設立されています。現実的な視野にたつこと、が趣旨の中に含まれています。

設立趣意書


 私たちは、世界で唯一原子爆弾の被害を受けた日本に生まれ、世界平和を強く希望しています。
 今もなお癒えることのない被爆者の苦しみは充分に酌み取られなければなりませんし、原爆の悲惨さは人類の語り継ぐべき体験です。しかし、私たちと私たちの子孫たちが本当に安全で平和な暮らしを送り続けるために、はたしてこれまでの反核運動だけで良いのだろうかという疑問をいだきます。ただ「世界に平和を!」「核兵器の廃絶を!」「戦争のない社会を!」と叫びつづけるだけで、事態は本当に好転するのでしょうか。また「被爆者の声」という言葉を発している人たちは、本当に被爆者や広島・長崎に住むすべての人々の代弁者なのでしょうか。そこに原爆による死者を悼み、あの廃墟から黙々と町を復興させてきた人々への感謝や尊敬の気持ちは込められているのでしょうか。
 私たちは考えました。もっと広く、現実的な視野を広げ、前向きに行動することが必要ではないかと。そしてそのためには、長い歴史をもったこの国の辿ってきた道のりを、先人の労苦と智恵を、そしてそれによって享受してきた私たちの幸福を見つめ、現代社会においてさらに発展させていくための精神と課題を明らかにしていくべきであると。
 そこで、ここに「平和と安全を求める被爆者たちの会」と名付けた団体を結成し、このような考えを広め、実行するための活動を開始します。今のこの国の人であれば、誰もが、「核兵器のない、平和な世界」を希求しています。しかし、その道のりは長く、平坦ではありません。今日、私たちは核拡散防止条約(NPT)で規定された五つの「核兵器国」はもとより、北朝鮮、その他の国の莫大な数の核の脅威に囲まれています。そしてその状況は、様々な形でこの国を困難な立場に追い込んでいます。昨年、プラハで、オバマ米国大統領は確かに「核兵器のない世界を目指す」とは演説しました。しかし、同時に「それは私の生きている間には実現できないだろう」とまで言い切っているのです。一方、既存の反核団体は、オバマ大統領の「核なき世界」の部分だけを高々と掲げ、国の安全保障政策と敵対し、自分達と異なる思考を持つ人たちには様々なレッテルを貼って真剣な議論自体を阻んできました。また、広島平和公園の碑文には過去多くの疑問が寄せられてきました。そこに刻まれている「過ち」とはいったい誰が、なぜ犯したものなのか、広島では、いまだその議論はもとより、そのような疑問を発することすら封じられる空気が支配しています。
 本当に平和を実現するためには、あらゆる可能性について議論するための知識と、様々な角度から検討できるための自由が絶対に必要です。「自分たちが被害者である」ことを盾に、初めから結論を固定して不都合な情報や議論をタブーとする所には平和も発展もないのです。
 平成21(2009)年の広島原爆忌に開催された日本会議広島の講演会には、市長からの日程変更要求をはじめ、激烈な非難や妨害活動が起されました。しかし、それ以上に多くの賛同の声や支援が被爆者を含む人々から寄せられました。このことで、これまでの非核・反核運動に違和感を持ち、沈黙を続けていた多くの被爆者達と、その関係者が多くおられることが明らかになりました。
 この会は、このような声なき声に動かされた人々が、これまで封じられてきた思いを形にすべく設立されました。
 この会は、世界の誰をも犠牲にすることなく、私たちの家族、故郷、そしてこの国が発展し続けるために、現実的で前向きな議論を展開します。この理念に矛盾しない限り、他の様々な組織・団体・個人とも協働します。そのため、今日の「広島・長崎の声」を検証するとともに、国際社会において「過ちを繰り返させない」ための方策を検討、発信します。

 私たちの活動内容は次の通りです。
1. 初めての核実験が行われた米国アラモゴート周辺だけではなく、中国ウイグル地方及びそれに隣接する諸国でも核実験の被害が続いている事実を踏まえた、さらなる核兵器の使用を回避するための研究と活動の推進。

2. 広島、長崎、および前項の被害者の救済と広報活動。

3.核兵器および平和目的の原子力利用により新たな被害者がおこりうることを想定し、その被害を最小限に留めるための研究と国民的取り組みの推進。

4. 戦争を回避し、私たちが自由で独立した国民として存続し続けるための様々な方策の研究。

設立に関する経緯や目 指す方向は、別に発表した当会の「事務局声明」にも記述しました。

 当会は、会員による会費、その他の寄付金、賛同してくださる方の奉仕活動を基礎として運営されます。私たちの活動や考えに多くのご支持・ご 支援が寄せられることを心から願っています。

                   代 表(被爆二世) 秀 道広

               事務局長代理(被爆二世) 池中美平

 昨年の田母神氏の講演が契機になったようです。「被爆者の気持ち」として田母神氏の講演に弾圧を加えた広島市長やメディア、各種団体はどう捉えるでしょうか。今年は表面上は静かです。閉ざされた言論空間に風穴をあけることができるか。

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