GHQ憲法一条病



 昨年、中共習近平氏が来日したとき天皇陛下と引見しましたが鳩山総理、小沢民主党幹事長が1ヶ月ルールを無視したことで話題になりました。私はこれはGHQ憲法第一条の罠にかかっていると感じていました。マンガ家の小林よしのり氏も同様に思っており、「小沢氏は国民主権原理主義者であり、政権さえ取れれば天皇なんかどうにでも使えるとしか思っていない」と批評しています。

 第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

 「この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」・・・これは皇室を廃止可能にするためにソ連の要望でつけたものです。国民が上で皇室を軽んじるように仕向ける効果があります。俺様が主権者だと国民は傲慢になっていきます。このため小沢民主党幹事長のような不敬な政治家が現れたといえます。小林よしのり氏の意訳表現を借りると小沢幹事長は以下のようなことを言っています。

「俺は主権者たる国民が選んだ政治家だから一番偉い!主権者の上に君臨する権力者だ!」
「官僚なんか政治家の奴隷のはずだぞ!羽毛田め、逆らうとは何様のつもりだ」
天皇なんか俺様の助言と承認でどうにでも動くはずだ」
「反対はさせないぞ!俺様の言うとおりに動きたいと言わせてやる」

 弁護士の南出喜久治氏によると国民主権というのは非常に暴力的なものと述べています。100人で構成される国家があり90人が残りの異端の10人を殺してしまうという法律を作ったとします。憲法も改正できるから10人を抹殺することを容認する、これが国民主権であり、人が神になり、そういう暴力が正当化されることがあるというものです。

 もともと国民主権というのは社会契約説の概念を背景に、ロック、ルソーによって発展させられた概念で危険な思想として考えられており、南出氏のいうように「国民の意志」自体が法であり、既存の法を一瞬にして無とし、無限定な力として暴走する危険性を持っています。国民主権のような観念を憲法に持ち込むべきではないとする憲法学者が世界に多いといいます。南出氏はイエス・キリストの話をあげています。イエスは捕らえられてユダヤのローマ総督であるピラトの前に引き出されますが、ピラトはイエスに何の罪も認められず、しかも、ここでは死刑にすることは許されなかったのに、ユダヤ人の群集に煽られてイエスを十字架刑という極刑にしてしまいます。これが国民主権の源流だと述べています。

 GHQはあたかも明治憲法天皇に主権があった、GHQによって国民主権になった、国民は解放されたと刷り込みましたが、明治憲法には天皇に主権はありません。主権という概念がありません。なのに相変わらずデマが支配しています。

 GHQが仕組んだ罠はどんどん国民を侵しています。まずは憲法議論を活発化させるべきでしょう。GHQ憲法は何の目的で作られ、どういう弊害があるか、明治憲法は戦後言われるほどおかしかったのか、というところはあまり議論されていないように思います。



参考文献
 WiLL2010.3「本家 ゴーマニズム宣言 小沢も亀井も不敬な政治家」小林よしのり
 「天皇論」小林よしのり
 「日本国憲法無効宣言」渡部昇一南出喜久治 共著
参考サイト
 WikiPedia国民主権
関連記事
 GHQ憲法の罠「国民主権」 http://blogs.yahoo.co.jp/jjtaro_maru/21697577.html


添付画像
 ジャン=ジャック・ルソー(PD)
※syouwa_jpさん(http://ameblo.jp/katteniooen/)から紹介いただいたお話。ルソーはそもそも以下のように述べています。
「人もし随意に祖国を選べというなら、君主と人民の間に利害関係の対立のない国を選ぶ。自分は君民共治を理想とするが、そのようなものが地上に存在するはずもないだろう。したがって自分は止むを得ず民主主義を選ぶのである。」
日本人に謝りたい http://hexagon.inri.client.jp/floorA6F_he/a6fhe801.html

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