歴史を貧困にみたらあかん


 上智大学の名誉教授、渡部昇一さんは、「歴史というものは暗くも明るくも語れる。史実の並べ方ではどうにでもなる」と述べています。

アメリカの明るい歴史
「信仰の自由を求める聖なる有志ピルグリム・ファーザーズが苦労シナあら独立宣言をし、憲法をつくり、そして自由主義と民主主義を世界に広めた」

アメリカの真っ暗な歴史
「ヨーロッパで食い詰めた連中が船に乗ってアメリカにわたり、おとなしく親切な先住民から食べ物をもらっていたが、力をたくわえてきたら、自分たちに報いてくれた土着の人々を殺し始め、バイソンや旅行鳩と同じく絶滅寸前に追いやり、生き残った人たちを一定の地域に押し込めた。そうして労働力不足になると、アフリカから黒人を連れてきて、ローマ帝国以来の奴隷帝国を作った」

 どちらも事実であり捏造歴史ではありません。私はどちらかというと後者のイメージが強いですが・・・

 パナソニック創業者の松下幸之助さんは高校の歴史講座をテレビで見ていて、その先生が古事記とか、日本書紀の、作られた過程を天皇の作為、天皇の個人が自分の都合のいいようにつくった、八つの島をつくったとあるが、あれは荒唐無稽な話なんだ、奈良の大仏さんの建立は多くの民衆の塗炭(とたん)の苦しみによってできた、と説明しているのに対し、こう述べています。

「なんとか日本をよくしたいという思いでやったことも、いわば悪意で解釈している。どんなことでも、いろいろな考え方が含まれているんやから、それを考えるときには、みんなが幸せになるようにとらえんといかんのやないやろうか。日本の歴史が偽りの歴史であり、邪悪な歴史であると考えたりする姿は、自分の国、自分たちの祖先を貧困に見ている姿や。
 なんでもそうやけど、いったい悪意からなにが生まれるんやろうか。せっかく日本はいいものを持っているのに、わざわざ悪くするようにするのは、まるで金になるものを、サビた鉄にしようとするのに似てるな。歴史については、いろいろな見方、考え方もあるやろうけど、人間を不幸にする見方、考え方はあかんな。こういう考え方がされているとするならば、日本の将来、日本の未来にとって重大な問題だと思うな」


 我々日本人は悪意ある捏造と歪曲の東京裁判史観により「戦前真っ暗」と刷り込まれ、あるいはその延長上の司馬史観によって「明治の栄光と昭和の破滅」で押さえ込まれていますが、縛られることなく、貧困に見ることなく歴史を見て、日本のいい物を見つけていきたいものです。



参考文献
 「歴史通」WiLL2009.7『唇に歌があふれていた日々』渡部昇一
 松下幸之助随聞録「心はいつもここにある」PHP文庫

添付画像
 昭和12年のナショナルの広告 
  〜 ごちゃまぜ歴史写真より http://kyoto.cool.ne.jp/syasinsyuu/


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