脱原発のドイツ、イタリア、また日独伊同盟?

また日独伊ですか?




 ドイツは「脱原発」、ドイツを見習え!ドイツのドイツが脱原発に舵をきったのはよく知られているでしょう。東日本大震災福島第一原発が事故を起こすと、メルケル政権は「脱原発」に舵を切りました。2022年まで全原発を撤廃するというものです。イタリアも脱原発に舵を切りました。興奮状態の中、国民投票を実施し、94%が脱原発に賛成したのです。核保有国であるロシア、アメリカ、フランス、中華人民共和国、イギリスは原発推進政策はなんら変わらず、イギリスは2025年までに新たな原発8基を建設する計画を再確認しました。「日独伊」の組み合わせはなにやら「負け」の組み合わせを匂わせます。ドイツもイタリアも日本と同じように敗戦時に「国家弱体化」の種が仕込まれたのでしょうか。

 ドイツの「脱原発」は場当たり的なものではなく、メルケル政権の前のシュレーダー社民党緑の党連立政権で、2022年までにその実施を決めていました。メルケル政権になって、22%の電力を占める原発代替エネルギーの確保ができないことがわかり、2010年に原発の稼働を平均で12年延長すると決めました。野党は「約束違反」だとして、猛反発をします。そこに東日本大震災福島第一原発の事故がおこったのです。このときとばかり野党、特に環境保護を重視する「90年連合・緑の党」が政権を批判し、世論が一挙に「脱原発」へと走り出して手が付けれなくなりました。6つの州で選挙を控えていたメルケル政権は「脱原発」へ舵を切りなおさないと選挙に勝てないとみて、「脱原発」を宣言したのです。このあたりは日本の世論が「脱原発」に動き、政治家は実現困難とわかっていながら「脱原発」をうたわないと選挙に勝てない、とみているのとよく似ています。

 さて、ドイツはどうするのでしょう。代替エネルギーの調達は次の政策となります。

(1)陸上、海上風力発電の大幅拡大
(2)送電網の拡充
(3)天然ガスによる火力発電増大などクリーンなエネルギーを目指す

 ドイツは2010年現在、6.2%を風力発電でまかなっています。日本は太陽光発電を含めても1.1%です。ドイツで現在6%ならそれくらいは日本でもできるのではないか?と思うでしょう。ところが日本とドイツでは全く事情が異なります。ドイツやオランダ、デンマークといったあたりの田園風景には風車があるでしょう。あれは強い偏西風が安定的に吹くからです。日本に風車がないのは風がないからです。北海道の一部を除いて安定的な風がないものですから、稼働率の低い風力発電は赤字になります。それと日本は地震が多い国です。地震による津波も警戒しなければなりません。風力発電地震に弱いですし、海上に設置しても津波や台風のことを考えなければなりません。台風のときはプロペラは止めます。ドイツには台風はなく、地震津波の心配はありません。まったく日本と事情が異なるわけです。

 (2)の送電網をあげているのも、風任せの発電の弱点があるからで、電力供給の予測が狂うと送電網に負担がかかることがあります。2006年11月に欧州大停電がおき、1500万世帯におよびましたが、このためです。スペインでは風力の発電量が急激にあがれば、送電網から切り離して、フランスから電力を引き入れるという綱渡りのオペレーションをしています。

 ドイツと日本の事情が違うのはこの他、欧州は陸続きであり、そして電力の自由化が進んでおり、国家間で電力の輸出入をしている点です。ドイツはフランスから原発の電力を買いますし、ドイツの電力をフランスにも売ります。日本は海に囲まれていますから、それができません。仮に海を越えて送電線をひいて中共原発から送電してしてもらうとしたら、反日国に日本の運命を握られることになります。近くの国、中共、韓国は反日国です。ロシアも北方領土を不法占拠している反日国です。

 それとドイツ、イタリアはやっぱり電気料金が高いのです。家庭用電気Kwあたり日本は0.18ドル、イタリアは0.31ドル、ドイツは0.26ドルです(2008年)。脱原発が進むとさらに高くなるかもしれません。日本の脱原発の議論をしてきた中で具体的に電気料金がどれくらい上がるか、というと、日本政府はやっと最大で2倍という数字を出してきました。(電気料金をどう見るかは計算方法によって異なってくる)

 以上のようにドイツと日本では事情が全く異なるので、ドイツをお手本にすることはできません。日独伊で組めば、再び負けます。日本は日本の事情を踏まえたエネルギー政策を行うべきです。原発はベースエネルギーとして日本経済を支えています。風力も太陽光もベースエネルギーにはなりえません。ベースエネルギーを原発だけに依存しているのも問題と言えば問題です。ベースエネルギーは二つ以上欲しいところです。核融合などの研究を進めるべきです。日本は今度は勝たなければなりません。



参考文献
 海竜者「なぜドイツは脱原発、世界は増原発なのか。迷走する日本の原発の謎」クライン孝子(著)
 新潮新書「『反原発』の不都合な真実」藤沢数希(著)
 日新報道脱原発のウソと犯罪」中川八洋(著)
 読売新聞朝刊9月5日「ゼロなら電気代倍増も」
参考サイト
 資源エネルギー庁 エネルギー白書 第2部 エネルギー動向 第2章 国際エネルギー動向
 第4節 国際的なエネルギーコストの比較
  http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2010energyhtml/2-2-4.html

添付画像
 愛知県田原市の笠山から見た田原臨海風力発電所風力発電機(PD)

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